マッキントッシュ アンプ

マッキントッシュ MC275の修理・オーバーホール

マッキントッシュ パワーアンプMC275のメンテナンスに豊富な実績があります。
MC275,C22,C11などヴィンテージ時代のアンプのメンテナンスのために、SPRAGUEやMALLORYのコンデンサー、フィルムコンデンサー、トランジスター、抵抗器、スイッチやヴォリュームなどのヴィンテージ時代の貴重なパーツ(未使用品)を在庫しています。

マッキントッシュ MC275 C22 C11 ヴィンテージパーツ

回路図に使用するパーツの精度が指定されて箇所があります。左と右の増幅率が整わず左右のバランスが取れない、歪みが出るなど音質に悪影響が出ることが想定される箇所もあります。

MC275では、抵抗器を5パーセント以内の誤差や電圧の増幅率の回路においては2つの抵抗の値の比率が1パーセントにするなどの指定があります。
(下の回路図の赤い箇所です)
当社ではヴィンテージ時代のソリッド抵抗器を交換に用います。規格値としては5パーセントの誤差のものですが、実測してみると5パーセントに収まっているものは3割程度です。その中から近いもの同士を選んでペアーにします。

マッキントッシュ MC275 ヴィンテージ抵抗器

マッキントッシュ MC275 ヴィンテージ抵抗器

マッキントッシュ MC275 メンテナンス例

MC275をお預かりしたときの状態は、
ボヨンボヨンした音質で、左chにハムが出ている、
音楽を聴くアンプとしては、全く使えないレベルでした。

点検・試験を実施して分かった問題点

回路の改造箇所

1) V4 12AT7, V7 12AZ7のバイアスを可変抵抗でそれぞれ調節できるように改造されている。

マッキントッシュ バイアスを可変抵抗で調整

MC275は真空管を差し替えても基本的には調整する必要がありません
2) 平滑用の電解コンデンサ10μFが追加されている。
3) V5(12AU7 右CH)のプレート抵抗が、1番ピン側27kΩ、6番ピン側30kΩのところ
1番ピン側33kΩ、6番ピン側27kΩになっている。

マッキントッシ コンデンサ追加

4) 出力管V8~V11のグリッドへの配線に910Ωまたは1kΩの抵抗が追加されている。

マッキントッシュ 抵抗値追加

5)V1のソケットが交換されているが、センターピンがない。
6)回路図にあるV1のプレート(1,6番ピン)とグリッド(2,7番ピン)の間の1.8μFのコンデンサがない。

マッキントッシュ ソケットセンターピン

修理対応

1)2) マイナス電圧用のダイオードを交換し、固定抵抗で分圧する回路図どおりのバイアス回路にもどした。
3)V5のプレート抵抗を回路図どおりに戻した。
4)グリッドの抵抗を除いた。
5)V3,V6(12BH7)はカソード同士を接続するのにセンターピンが邪魔なので、これを外して
V1に移植し、オリジナルの回路のようにアースをとった。V1は左右両chの信号を扱うので、センターピンで左右をシールドしておく必要がある。
6) 回路図通り2PFのコンデンサをPG間に追加。設計は発振防止用と思われるのでこのコンデンサは必要。

その他の内部状態

1)シャーシとベークライト板が黒く汚れている。特にミニチュア管側

マッキントッシュ 内部汚れ

2)トランスから出ているコードの糸の外被が脆くなっているところがある。(ショートすればパーツが破損する。)

マッキントッシュ 配線手直し

3)交換されているコードの被覆が薄い 電圧が高い箇所は被覆の厚さが求められる

マッキントッシュ 被覆が薄い

4)出力管のヒーター配線が長すぎて信号線に近づいており、ヒーター線と信号線が束ねられており、ノイズの原因になる。

マッキントッシュ 配線手直し

マッキントッシュ 配線手直し2

e)抵抗の値が増大しているものがある
f)電源のサーミスタの常温での抵抗値が小さい。

対処方法

1)シャーシとベークライト板の清掃。
2)チューブを被せ、これ以上外被が擦れないようにした。
3)高圧のところは600V耐圧のコードに交換した。
4)オリジナルの配線に合わせてヒーター線はソケット間を最短で接続し、信号線をソケットにつなぐときはヒーター線と直交するように配線した。
5)抵抗値が許容範囲を超えているものがある場合、同類の抵抗を全部交換した。
5)常温での抵抗値50Ωのものに交換。

交換したパーツ、配線の数 メンテナンス

1)交換パーツ
電解コンデンサ 7
抵抗 24
ダイオード 1
サーミスタ 1
2)取りはずしパーツ
バイアス用:電解コンデンサ 2、可変抵抗 2、抵抗 2
出力管グリッド用:抵抗 4
3)配線の数
150本
(出力管ソケット 20、MT管ソケット 63、ベークライト板 29 電源関係 23、その他ラグ板等 15)

メンテナンス作業に要した時間 180時間

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“マッキントッシュ MC275の修理・オーバーホール” への2件のフィードバック

  1. 沢田豊秋 より:

    30年ぶりにMC275を取り出して電源入れた所
    ヒューズが飛んでしまいました。
    試しに開けてみた所サーミスタが割れていました、
    これが原因かは判りませんが、実際調べないと判らないと思いますが修理メンテ費用はどの位かかりますでしょうか?、中は思った以上に奇麗でしたので修理したいと
    思います。

    • ヴィンテージオーディオ堂 より:

      写真を拝見いたしました
      状態をご説明いただきまして、ありがとうございます
      いただいたメールアドレスにご返事いたします

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