オーディオの点検・試験サービス
オークションや転売業者から購入されて当社に持ち込まれたオーディオ機器のメンテナンスを数多く経験してきました。
オーディオ専門のアカウントからの購入品や保証付きで購入されたものでも、販売者の説明とこちらで点検した結果、状態が全く違うものが少なからずありました。
近年、特に問題のある状態のオーディオ機器が多いように思います。
・動作保証付きで購入されたもので、ご自宅で電源を入れると、ブレーカーが落ちたとお聞きして、こちらで機器を預かって確認したところ、電源がショートしていたものや
・オーディオの内部を弄り回して、手を付けられなくなり、処分として販売されたと分かるものも少なくありません。
但し、オークションの説明欄には現状販売、ノークレームノーリターンと書かれてあるだけで、コンディションの説明がないことがほとんどです。
安く入手できたとしても、メンテナンスが大変なばかりか、オーディオ機器としては使い物にならないものもあります。
また、高級オーディオのアクセサリーは偽物が出回っています。こちらはエレクトリさんからのご案内です。
マッキントッシュケーブルの偽物商品について
オーディオ機器は出所のはっきりした信頼のおけるものを入手するのが一番良い方法ですが、オーディオ専門店でなかなかお目にかかれない貴重なヴィンテージオーディオをオークションを活用して入手したいとの想いは理解できます。
ヴィンテージオーディオ堂は、オークションや転売業者から購入された高価なオーディオ商品を、ご自身で使われる前に、お預かりしての点検・試験を実施させていただくご相談を承っております。
ご相談をお受けした事例
オークションで購入されて、こちらに持ち込まれたオーディオ機器の例をいくつか挙げます。
MIT Oracle Z CORD AC2
MIT Oracle ZCORD AC2 電源ケーブルとJODELICAの電源プラグの組み合わせです。
オークションで導通確認済み、正常品として、1週間の保証付きで購入された品です。
マッキントッシュ MC2300に接続して、電源を入れた瞬間にご自宅のブレーカーが落ちたとのことで、お預かりした電源ケーブルです。
普段仕事を忙しくされており、使わないまま1週間が経過した後のことでした。出品者にクレームをつけても受け付けてもらえない状況です。
導通を確認すると内部でショートしていました。導通が不安定であり、その結果過大な電流が流れ、ブレーカーが落ちたと推測します。
プラグの中を開けてみると、
・ケーブルと端子は締め付けが緩んでいる、
・芯線が折れている
・撚線は抜け落ちている(2枚目の写真の赤い矢印箇所)
いい加減な処理がされていることを確認しました。
プラグを開けたときの写真です。
修理後の写真
・ショートしていた箇所のやり直し
・シールドのやり直し
・折れかけていた単線のやり直し
・抜け落ちていた撚線のやり直し
・被覆の手直し
制作で注意したこととしては、オーディオ用の高級ケーブルは、内部の被覆は比較的柔らかい素材が使われており、銅線は材料として柔らかい金属ですので、プラグとケーブルのネジ留を締め付けすぎるとよくないので、締め付けすぎず、ネジが緩むことのない適切な締め込み具合を確保しました。
制作後は、各種試験を実施しました。
・当社の他の電源ケーブルの突入電流 安定電流を比較テスト
・ケーブルをパワーアンプに接続して、出力を上げて音出しをするリスニングテスト
他
マッキントッシュ MC2505
お客さんは問題がないものとして長年MC2505を使われていましたが、こちらで内部を確認したところ、
パワートランス回路が4Ω→D出力に直結されており、トランスレスのアンプに改造されていました。
これではMC2505の本来の音が出ません。マッキントッシュ社のパワーアンプは出力トランスがその特長の一つです。
また、ハンダが外されており、基盤と抵抗が焦げています。
大きなトラブルがあって、理由があってパワートランス回路が改造されているのかもしせん。出力トランスにトラブルがあることも考えられます。(現在調査中です。)
マッキントッシュ MC2255
数年前オークションにて購入しイルミネーションが点灯せず近隣のオーディオショップに修理依頼したところ、イルミネーション照明に必要なパーツが部品取りされているとのこと。
別のMC2255からパーツを取り修理するか何か代用品用いて修理可能なのか途方に暮れているとのご相談をお受けしました。
こちらでMC2255をお預かりしてフロント周りを解体して状態を確認するとおっしゃる通りでした。フロントパネルの照明が明るくないのは、オークションでの販売ページに説明がなければ、電球が切れているのか程度の認識で誤解してしまいます。
その他にも、GAIN VOLUMEが不適切なものに交換されており、ツマミが他のものに比べ突き出している状態、の他いくつも問題個所が見られます。こちらも写真でちょっと見た程度では気が付かないと思います。
マッキントッシュ MC7009
不適切なグリスがMCD7009のトレーのギアーに塗布され、プラスティック樹脂が溶解しているギアーです。柔らかくなって樹脂が溶けて糸を引いている状態です。
これではトレーが正確に動作せず、CDの再生がうまくできません。
STUDA A730
ほとんどのコンデンサが日本製のものに交換されていました。
以前の作業中に間違ったのかアース線の取り付け間違い、不適切な作業により基盤のスルーホールが複数破損、回路の改造が見られました。
当社で不具合箇所を修理して、日本製のコンデンサに交換された箇所は、ヴィンテージ時代のPHILIPS社のコンデンサにやり替えました。(69箇所)
詳細はA730 D730 STUDER スチューダー CDプレーヤーの修理をご覧ください。
STUDA D730MkII
専門業者によるメンテナンス実施済み品として販売されていたものです。
ピックアップユニット新品交換、コンデンサ等交換などのメンテナンス明細が付属されていました。
お客さんは、オークションでの落札後、プレイヤーを使用したところ、
「著しく何か明らかにおかしいと思った程の違和感がなかったので、使用してきたが、SACD(ハイブリッド盤)とCD再生において当初よりNo Diskと表示されることが多い」
とのことで、こちらに持ち込まれたのが、オークション落札から半年経過したころでした。
D730MkIIをお預かりしてこちらで点検・試験を実施したところ、
・バッテリー周りがいい加減に修理されており、接着剤で固められており、作業の仕方に問題がある。D730MkIIは4層基盤ですが、基盤のパターンを壊してしまっている。
・LINE OUT 出力しない モニターSPは出力する。
・トラックの動作がおかしい。
・Control outを表示して、操作を受け付けなくなることがある。
・DAC(TDA1547)から出力端子の間の電解コンデンサ20個、SERVO基板でも3個日本製のものに交換されている。
・SERVO基板、インターフェース基板の広範囲に結露のような跡がある。
・新品のピックアップユニットに交換されたとのことだが、内部の状態は交換されたように見られない。
など、多くの問題が見られました。
おそらく、取り付けられているフィリップス社のIC、モトローラー社のICが故障していると思われます。(現在調査中)
サポート対象のオーディオ製品
アンプ、プレイヤー、スピーカー、オーディオアクセサリー等、すべてのオーディオ製品を対象とします。
但し、一部対象外の製品があります。
ご依頼の流れ 費用
オークション出品者から当社へ直接お送りいただけます。
事前のご依頼のお申込みと、こちらでの荷受け日のご相談が必要です。
点検・試験費用は、商品の種類とその状態によりますので、個別に提案させていただきます。
点検・試験の範囲は、正常動作の確認、内部の故障しそうな箇所の有無の確認、改造箇所の有無の確認、オークションの販売ページでの説明との相違などご相談に応じ個別に検討させていただきます。
マッキントッシュ社製品の修理・オーバーホールのご依頼はこちらのページをご覧ください。