マッキントッシュのアンプ 良い個体の選び方
出所の分からないアンプや下手に手を加えられたアンプの流通が最近多いように思います。
特にマッキントッシュのヴィンテージのアンプは、長い期間に複数の人の手に渡っていることが少なくなく、これまでの使われ方、手入れのされ方がよく分からないことが難点のように思います。
極上品として入手したアンプ、あるいはプロの技術者によりオーバーホールが実施されたアンプとお聞きしてお客様からアンプをお預かりすることがありますが、
こちらで状態を確認しましたら、全くそのように言えない状態のものに遭遇することが少なくありません。
中には素人が手を加えた(弄くった)と考えられるものもあります。
アンプの中を良くみないと交換に用いられたパーツや、過去の手入れ方法は分からず、アンプのコンディションを把握できません。
中古品のマッキントッシュの機器を入手する際は、なるべく過去に手を加えられていない機器を入手することをお勧めします。但し、ヴィンテージ品ですので、良い音を聴くため、安全に使用するためにも、適切な手入れを実施することは必要です。
直近半年間にお預かりしたアンプで、いくつか例を挙げます。
マッキントッシュのアンプをお探しの際のご参考になれば幸いです。
マッキントッシュ C26
オークションにて不具合品扱いで購入されたアンプ
・フィルムコンデンサー7箇所(音響回路) 汎用品(メーカー不明)、回路図と規格違いのコンデンサーに交換されている。また狭いスペースにサイズの大きいものが無理やり取り付けられており、パーツ同士が接触・押し合っている。黄色の筒状のコンデンサーがそれです。
当社にてオリジナルと同メーカーのコンデンサーに交換し直しました。
・トランジスターが多量(16個)に汎用品に交換されている。
トランジスターは普通は交換の必要はありません。おそらく、故障原因・故障個所を絞り込めず、手当たり次第交換したと思われる。貴重なオリジナルのトランジスターを無駄にしています。
当社にて、マッキントッシュ社純正品のトランジスターを用いて(16個)メンテナンスし直しました。
マッキントッシュのアンプのトランジスターの劣化はこちらのページを参照
・大容量コンデンサ容量抜けある。160㎌/200V+200㎌/150V(×) 200㎌側がほぼ0になっている。
高価ですが、ヴィンテージ品のSPURAGUE社製のコンデンサー MADE IN USA(マッキントッシュのアンプにオリジナルで使われているブランド)を用いて交換修理しました。
中途半端な修理(空中配線によるコンデンサーの追加など)は行いません。
・volume, swithch 全てに油(接点復活剤?)が吹き付けられている。経年により油が染み出し黒く変色している。可変抵抗に接触不良が起きており、ガリ、音切れが発生する。
接点復活材の悪影響はこちらのページを参照
・長期間による静電気汚れ大(黒色系の汚れによる絶縁劣化が考えられます。)
・VOLUME (500KBX2) が交換されている。また、取り付けられているものは改造品です。
・電球がガラスパネルに当たって取り付けられている。正しく取り付けられていない。イルミネーションが本来通りに照明さない。またフロントパネルの気泡の発生原因になります。
マッキントッシュ C28
マッキントッシュの取り扱いで有名なショップにてメンテナンスが実施された極上品とお聞きして、買取り依頼を受けたアンプです。
・volume switch 純正でないパーツに交換されている カチッとon/off しない。
・フロントパネルの照明は、型番間違いの電球が取り付けられている。
・C28にウッドケースがセットされた状態だったが、ウッドケースを取りはずすとシャーシに何かこぼされた痕跡 酷い錆が発生しており、その上から塗装されている。
・ピンジャックを紙やすりのようなもので磨かれており、地金が出ている。この状態は錆が出やすく、被覆がないので、接点が良くない。よく考えずに削ったと考えられる。
・LINE OUT 1系統のみ金メッキのピンジャックに交換されていることが不明。
(交換するのであれば、入力レベルの低いPHONOの端子を交換したい。)
取り付けの際は、ピンジャックのシャーシ側の穴を広げられており、また下手に取り付けたため、シャーシに傷がついている。その傷を隠すために、黒い塗料で縁がペイントされているが、ペイント跡が目立つ。
・日本メーカーのトランジスター、マッキントッシュ社と関連のない半導体メーカーのトランジスターに交換されている
・電源ケーブル周りのシャーシ部が切り取られており無理して太い電源ケーブルが取り付けられている
マッキントッシュ MC2105
マッキントッシュの取り扱いで有名なショップにてメンテナンスが実施された極上品とお聞きして、買取り依頼を受けたアンプです。
スピーカーON/OFF スイッチが樹脂製の安物に取り換えられていた。
取り付け方法もいい加減です。回転留めがシャーシに固定されておらず、リード線の撚線はほとんど断線しており、細い線数本でかろうじて繋がっていた。
当社でMADE IN USAのしっかりしたスイッチ(マッキントッシュ社純正品同等品 Mallory社製)に取り替えを行いました。
出力調整用の可変抵抗が汎用品に取り換えられており、抵抗値が回路図と異なるもの(5KΩ)が取り付けられていた。黄色いツマミのあるパーツがそれです。(オリジナルは1KΩです。)
5KΩのものでは、抵抗値の調整がやりにくく(微調整に向いていない)、回路図通りの抵抗値に調整されていなかった。
当社でマッキントッシュ純正品の可変抵抗に取り替えを行いました。
マッキントッシュ MC2255
オークションで動作品として購入されたアンプ
購入後4日目で故障
・電源スイッチを何度か繰り返してるうちに空回りするようになり電源が入らなくなった。
こちらで点検・試験を実施した結果、重大なトラブルが発生していた
・MC2255の保護回路が働き動作しない。
・電源回路の故障とは別に、電源スイッチが破損している
・McIntosh ロゴ部ランプがきれいに照明されない(内部のパーツの欠品が原因)
・以前にフロント周りが解体された痕跡があり、フロント周りの組み上げが間違っている。フロントガラスの破損のリスクが高い状態でした。
・電源トランスからオイル漏れ トランスの内部からネジを伝って油が染み出ている。
マッキントッシュ C28
マッキントッシュのメンテナンスで有名なショップで過去にメンテナンスを受けたC28とお聞きしてメンテナンスのご依頼をお受けしました。
お聞きした不具合症状 ハムノイズが大きい
電源ケーブルが太いものに交換されているが、こちらで調べたところ、電源ケーブルの極性の接続が間違っており(逆になっていた)、ノイズの原因になっていた。
C28のシャーシ側の極性は白い被覆の方がコールド側(接地側)なので、間違って接続したと思われます。テスターで極性を確認することが必要です。
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