マッキントッシュ アンプ

メンテナンス内容の詳細

目次

メンテナンス方針
経年による機器の問題点の説明
ヴィンテージアンプ特有の修正の必要性
メンテナンス、サービスの内容
保証内容と期間
特性測定サービス
メンテナンス時に気を付けていること
ご依頼の流れ

メンテナンス方針

メンテナンスの仕事は、作業をする人の能力に依存します
目視による確認、動作確認試験、測定器による試験には高い注意力と判断力が要求されます
少しの違いや変化を見落とさないよう的確に確認します
電気工学を学んだ実務経験豊富な技術者が、機器の状態・不具合症状・行った作業結果を確認し合いながら、1台の機器のメンテナンスを完成させます

① 良い音を聴けるオーディオ機器を提供

マッキントッシュ社の設計思想を理解した上で、修理・オーバーホール、必要な修正を加えるメンテナンスを行っています

ちょっと音出しをした程度では、音の歪みや左右のチャネルの音量差は分からないかもしれませんが、じっくりと音楽を聴くときに、音質や、定位に違和感が感じられることがあります。

パーツが劣化しているアンプでも、一応は音は出ますが、音楽を聴くための機械とは別です。ヴィンテージオーディオ堂は音楽を聴くためのオーディオ機器を提供します

MC240 C22 MCD7000 オーバーホールし設置させていただきました

② 古い電気製品を安心して使える

古いオーディオ機器は、経年により、内部に埃がたまっている、ケーブルの被覆が割れている、異常に発熱していることや、
過去の手入れの仕方がよくなければ、絶縁不良、金属クズが内部に落ちている、定格に合わない電子パーツが取り付けられていることがあります。
アンプは動作しているかもしれませんが、使い続けるには心配な状態のものがあります
過去に手入れされた箇所も修正し、トラブルが出ないオーディオ機器を提供します

改造され無理に取り付けられていたランプ

電解コンデンサ、フイルムコンデンサがすべて交換され、回路も改造されているMC275

放電音とともに、大容量電解コンデンサの被覆が破れ、液漏れし絶縁不良が起きたMA7000

④5年、10年不具合が出ないオーディオ機器の提供を目指します

機種ごとに、回路上の負荷のかかる箇所や問題の起きやすい箇所を理解しています。回路の設計、パーツの特性、製作の仕方、経年による変化の仕方の理解に関わります。

経年による機器の問題点の説明

①音質の低下

・コンデンサの容量抜け
・可変抵抗(ヴォリューム)、スイッチの劣化
・電子パーツの経年劣化

再生時のスピーカーから出る音楽に感じる違和感はパーツの劣化が原因かもしれません。

ハム音、ホワイトノイズはある程度ご自宅でも確認していただけます。
音楽信号を入れると分かりにくいですが、音質に透明感がないと感じられる場合は、S/N比の問題かもしれません。

動画上のC26は、動作に問題はないとの認識で使われていましたが、こちらで確認しましたら、次のことが確認できました
MC2205のメーターの振れに表れています
・pnono1 の左chのホワイトノイズが右chに比べ大きい、また不安定
・phono2 の右chにハムが出ている
なお、パワーアンプMC2205は、オーバーホールを行いましたので、問題ありません
片ch200W 両ch400W付近まで歪みなく、きれいな波形を表します

②症状が不安定な場合や接触不良

不具合が稀にしか出ないため、ちょっと音だしをした程度では分からないことがあります。
また、試験に注意を集中させること、適切な方法で行うことが大切です。
たとえば、メーターの動作確認の際は、音楽信号を入れるとメーターの動きは正常に見えますが、一定の周波数を入れてテストすると、メータ回路でときどき異常な発信が出ていることがあります。
・接触箇所の錆や浮き、酸化被膜
コネクター ソケット 半田箇所 端子箇所
アンプ内部のコネクターに関しては、何度も抜き差しできる構造のパーツではないが、過去の手入れで何度も抜き差しされていると、パーツの信頼性が下がり、接触不良が起きやすくなります。
・摩耗による劣化
スイッチ、ヴォリューム

③過去の不適切な修理

・仕様に合わないパーツが取り付けられている
・作業が適切ではない
・ネジが無理に締め付けられた結果、ネジ穴が潰れている。
とくにヴィンテージ機器では、同じネジであっても、別の箇所に取り付けるとネジ穴が緩くなることがあります。

ヴィンテージアンプ特有の修正の必要性

マッキントッシュ社のアンプは、同じ機種のアンプでも、設計や使われているパーツに違いがあります
製品ロットの新しいアンプ、あるいは、上位モデルや後継機種で、回路が改善され、ノイズを減らす工夫や、接触不良を出さない仕組みに変更されています。
また、製造時は30年以上に渡って使われることは想定されていなかったかもしれません。
例えばC28、MC2255は40年前のアンプです。

これまで多くのマッキントッシュ社のアンプをメンテナンスしてきた経験から、アンプの性能や品質を比較検討してきました。
ヴィンテージオーディオ堂は、型番ごとのアンプの回路と個体の状態を確認し、マッキントッシュ社の設計思想に沿った修正を行うことができます

コネクタに流れる電流が大きく、プリントが焼けて接触不良が起きやすい状態
修正することで改善することができる

メンテナンス、サービスの内容

ヴィンテージオーディオ堂では、故障個所の修理とオーバーホールを行っております
ご依頼により、「こだわりの音質向上メンテナンス」「特性測定サービス」を提供しています

オーバーホール作業例

機種、個別の機器ごとにメンテナンス内容を提案いたします

・コンデンサー交換
MC275などは、なるべくアメリカ製の高信頼性のコンデンサを用意します
・劣化電子パーツ交換
・可変抵抗(ヴォリューム)、スイッチ、プッシュボタンスイッチの交換
・改造箇所の修整
・接点の修正
・コネクター、ソケット、端子の交換
・基盤、ヒートシンクを取り外しての清掃
・ランプの全数交換
各品番の純正品の電球を用意しています。価格の安い電球を見かけることがありますが、信頼性に疑問を感じることがあります。メンテナンス後の早期の電球切れを避けるためにもマッキントッシュ社から提供される高価な電球を用います。

ご参考にマッキントッシュC-34Vのメンテナンス時の様子をご覧ください

こだわりの音質向上メンテナンス

音質へのこだわりに、特に行き届いたメンテナンスも提供いたします

ピンケーブル、オーディオケーブル、電源タップなどのアクセサリに上等なものが使われますが、肝心のオーディオ機器の内部が頼りないようでは、効果は半減します。素材の経年による劣化は避けられません

メンテナンス例を紹介いたします

接点を安定させる

接触抵抗を減らし、接点を安定させ、ノイズを減らします。

・好みの問題はありますが、金メッキコネクタへの置き換え
比較的新しい機種 MC500、MC2000などでは純正パーツに金メッキコネクターが採用されています。

・劣化したフラットケーブルの様子

回路の修正

・設計上やむを得ないノイズを、配線の取り回し、小さい容量のコンデンサを追加し、ノイズを抑える工夫を施します
・本来あるべき回路に修整
製品ロットの新しい機器、あるいは、上位モデルや後継機種で、回路が改善され、ノイズを減らす工夫や、接触不良を出さない仕組みに変更されている箇所を、改善思想に基づき、修正いたします

大容量コンデンサの容量抜けの修復

大容量コンデンサの容量が半分程度に減少したとしても、音は普通には出ますので不都合を感じにくく、一般的には大容量コンデンサが交換されることは少ないように思います。
しかし、出力が大きくなると音に歪みが出ます。家庭では平均的な出力を大きくすることはあまりないと思いますが、音楽の再生中には瞬間的に出力が上がります。そのときに、音が歪むことがあるかもしれません。その歪みを耳で聴きとれるかどうかは別としまして、音楽として聴くと違いを感じられるかもしれません。

出力2W時に歪が出てるMC2205の様子
大容量コンデンサを交換したのち、歪みは解消されました。最大出力の200W付近まで歪みません

保証内容と期間

ヴィンテージオーディオ堂では、メンテナンス後に不具合が出た際の保証期間を1年間設けています(機種によっては2年間)。行ったメンテナンス内容・箇所と関連箇所を無償で再修理させていただきます。
但し、トランス、メーターユニットに関しては、別途相談します。ヴォリュームやスイッチのノイズ、電球の照明など経年変化によるものは対象外となります。

機器の点検後にメンテナンス内容を提案させていただきまして、お客様と相談の上、行うメンテナンス内容を決めさせていただきます。行うメンテナンス内容に応じて保証期間を定めます。
メンテナンス後の保証内容は、こちらのページにて説明しております。
⇒オーディオ機器の販売、メンテナンス後の保証内容

特性測定サービス

ご要望をいただきましたら、
メンテナンス完了後に、更正を行った測定器でオーディオ機器、真空管の測定を行います
次の測定項目を測定し、結果について報告書をお渡しします
〇周波数特性
〇歪み率
〇S/N比
〇残留雑音(ホワイトノイズ ハム)
〇左右のchの漏れ
〇ヴォリュームの特性
〇真空管の特性

1. メンテナンス完了後のマッキントッシュMA6900の測定試験結果です

左右のバランスは良く、ノイズはほとんどなくS/N比も良いです。片側200ワットまで歪み無く出力し、パワーガードの動作も確認します。

マッキントッシュアンプ測定試験

2. メンテナンス前と後のマッキントッシュMC2255の測定試験結果です

アンプの動作直後、15分後、30分後の動作も確認しています。アンプが温まってきたら、左右のバランスに違和感を感じる、良い音に聞こえない、などの問題も発見します。
メンテナンス前の状態で、電源投入直後はRchとLchの出力のバランスに問題はありませんが、電源投入後アンプが温まると左右の出力が落ち、バランスに大きな違いが生じます。
メンテナンス後は、アンプが温まっても出力が落ちず、左右のバランスにも問題はありません。非常に良いです。
マッキントッシュアンプ測定試験

3. C26のヴォリュームの分解・オーバーホール後の特性結果です。Lch,Rchの特性は、ヴォリュームのどの角度でも誤差が非常に少なく、良い結果に仕上げることができました。設置台を製作し、ウォリュームを設置して傾きを確認しながら抵抗値を測定します。

位置    Lch    Rch
9時     50    60
10時    260    230
10.5時   540    500
11時    11000   11000
11.5時   20000   26000
12時    30000   50000
12.5時   38000   40000
13時    47000   68000
13.5時   55000   75000
14時    75000   86000
14.5時   120000  120000
15時    240000  220000
15.5時   320000  300000
16時    400000  390000
17時    500000  500000
マッキントッシュアンプ測定試験

保有測定器

歪み率計
オーディオアナライザー
絶縁耐圧抵抗計
発振器
交流電流計 class 0.5
真空管試験機
ヴォイシング・イコライザー DG58

メンテナンス時に気を付けていること

高価、またヴィンテージ機器を取り扱いますので、機器の取り扱いは慎重に行います
マッキントッシュ社の製品は、フロント面がガラスパネルのものが多く、また重量級の機器が多いですが、
メンテナンス作業は、機器をひっくり返し、あるいは横向きで作業することになります
その際にアンプに負担がかからないように、工夫をしながら、作業は複数人で行います

専用の台座を製作し、作業中にフロントガラスに負担がかからないようにします

カバーの裏面のスイッチとシャーシ内部がリード線で繋がっています
上に持ち上げたカバーがシャーシを傷つけないようシャーシとカバーの間を緩衝材で保護しています

ご依頼の流れ

1,
ご依頼いただく前に、以下のリンク先にあります不具合箇所のご確認をお願いします。
これまでお送りいただいたアンプに不具合がないこともがありました。
こちらでお預かりし確認させていただきますが、動作確認・内部点検のみの場合も点検費用15,000円/1台が必要になります(重量級のアンプは20,000円、特殊な症状や機器の状態の場合は別途相談します。)。
(ご自宅で不具合が出る原因の究明に関しましては、わかりにくいことがございましたらサポートさせていただきます)

⇒アンプ,スピーカー,プレイヤー,不具合箇所の判別

ご依頼の際は、アンプをお預かりする前に、概算の見積もりをお伝えします

2,
アンプをお預けいただく手段は、①お持ち込みいただく方法と②宅配便でお送りいただく方法がございます。

①お持ち込みいただく場合は、事前にご都合をお聞かせください。
当日は、こちらのビルの前にスペースがありますので、そちらに停めていただき、アンプの荷下ろしをさせていただきます。
こちらの場所は、大阪の日本橋3南の交差点から東に200Mほどの位置です(阪神高速夕陽丘出口からすぐの場所です)

②日本全国からご依頼いただいてます。

なるべく丁寧な梱包をお願い致します。
梱包状態が良くないと、運送中にガラスパネルが割れる事故が起きます。
ガラスパネル側はダンボールの面から5センチほど離しその間は梱包材をつめ、また底面は新聞紙を丸めたものなどで5センチほどのクッションを設けていただけると安心です。

C-28のサイズまででしたら、佐川急便さんのエクスプレスBOX LL で良いと思います。
⇒佐川急便梱包箱の説明

通い箱となるダンボール箱と梱包材をこちらで用意しお送りすることも可能です。
マッキントッシュ社純正の梱包箱、あるいはWフルート構造で紙質の硬いダンボールと緩衝材をお届けいたします。
費用は、梱包箱をお送りするときの送料、梱包箱をお返しいただくときの送料を含めまして、10,000円になります。(たとえばMA6900の梱包サイズは170サイズになりますが、東京大阪間の片道の送料は、3,000円を超えます。)
重量級の機器に関しましては見積もりをさせていただくことがございます。
⇒このような梱包材をお送り致します。
ご自身で梱包材を用意される際のご参考にもなりましたら幸いです。
(お送りいただいた際の梱包が不十分な場合は、返却の際の梱包費用をいただく場合がございます。)

運送業者については、
・佐川急便にて必ず運送保険に加入し、天地無用・取扱注意指定にてお送りください。
※ヤマト運輸では、担当営業所の判断により、受け付けてもらえないことがあります。
⇒佐川急便集荷連絡先
・50キロを超える梱包:西濃運輸をご利用いただけます。
⇒西濃運輸集荷連絡先

リンク先にあります注意書きをプリントアウトしていただき、梱包の上面に張り付けていただけると安心です
⇒印刷してお使い下さい(梱包の上面に貼っていただく注意書き)

【こちらの所在地、アンプをお送りいただく先】
ヴィンテージオーディオ堂
〒556-0006 大阪市浪速区日本橋東1-12-13 グランビルドヒラノビル2階
tel:06-6616-9392
セキュリティー会社のセキュリティを導入していますので安心してお預けいただけます。

発送日に関しましては、別途ご相談ください。
オーディオ機器をお送りいただく前にメールでお送りいただく予定をお知らせいただきますようお願いいたします。

エレベータがありますので、重量のある機器をお送りいただく際は、エレベータがある旨を運送業者にお伝えください。
荷物の問い合わせ番号をメールでお知らせいただけましたら、運送状況をこちらで追跡させていただきます。

3,
機器が届きましたら、到着のメールをお送りします

機器の動作確認、技術的な不具合確認を行いまして、報告します。
2週間~3週間程度の日数が必要です。
同時に費用の見積もり(消費税別)とメンテナンス内容のご相談をさせていただきます。
⇒報告書サンプル

4,
メンテナンスが完了しましたら、下記の事項について報告致します。

  • 不具合が生じていた原因
  • 対処した方法
  • 交換パーツ
  • 写真でのメンテナンス状況のご確認
  • メンテナンス費用のお知らせ
  • 特性測定結果(ご依頼の場合のみ)

ヴィンテージオーディオ堂は、メンテナンス内容についてしっかりと説明責任を果たします。
『どういうメンテナンスを行ったのか、よく分からない』と言ったことがないように心がけています。

5,

メンテナンス費用と返却時の送料のお支払いをお振込にてお願いします。
お振込み後ご一報いただけましたら、その日の営業時間内に確認して着金済みの報告をさせていただきます。

6,
ご入金の確認後に、保証書を同封しすみやかに機器を返却します。
お届け時の運送中の破損等はありませんのでご安心下さい。
ダンボール,クッション材は、基本的にはお客様が発送の際に用いられたもの再利用しますが、
機器のラッピングに用いるエアーキャップは新しいものを使用します。
また、出荷の際は運送保険に加入します。

プライバシーポリシー

お客様からお預かりした個人情報は、適切な管理の下で安全に保管しています。
配送業者以外の第三者に、あらかじめご本人の同意を得ることなく提供することはありません。
お客様からいただいたオーディオ機器に関するご相談内容、リスニングルームに関するご相談内容、こちらで撮影した機器の写真に関しまして、お客様のプライバシーに関わらない範囲でヴィンテージオーディオ堂のホームページに掲載させていただくことがございます

近年にメンテナンスを行った機種の一覧です。

2015年

  • C20
  • C22 オリジナル
  • C26
  • C28
  • C29
  • C32
  • C34V
  • C40
  • C710
  • MA5100
  • MA6100
  • MA6200
  • MA6500
  • MA6800
  • MA6900
  • MC500
  • MC2105
  • MC2125
  • MC2205
  • MC2255
  • MC2505
  • MC2300
  • MC2500
  • MC2600
  • MC7150
  • MX113
  • MR85
  • MCD7000

2014年

  • C22
  • C26
  • C28
  • C29
  • C32
  • C34V
  • C39
  • MA230
  • MA5100
  • MA6100
  • MA6200
  • MA6300
  • MA6400
  • MA6450
  • MA6800
  • MC240
  • MC2125
  • MC2205
  • MC2255
  • MC2505
  • MC275
  • MC7150
  • MC7270
  • MC754
  • MC502

ご依頼の流れ1の時点では症状のヒアリング、3の時点では詳細な点検を行い、
なるべく早い段階で修理の見通しをつけ、費用を明らかにするように努めています
ご依頼をいただくほとんどのケースでは、1の時点で提案する見積もり金額でメンテナンスします

お客様に想定外の費用とご心配をおかけしないよう、1あるいは3の時点で修理完了の見通しと費用の見積もりをなるべく確かにし、気になる点がありましたら、事前に報告,相談します